幸家のメンバー紹介(インタビュー)
出澤 俊明(でざわ としあき)
会長/全体一般 社団法人未来社会推進機構
古民家・古材の価値を見直し、新たなしあわせなストーリーをつくることが、私たちの仕事
未利用の不動産の活用が、地域づくりにとって大切
地域づくりにとって、必要なことはなんでしょうか。
昨年の令和3年に飯山市役所を定年退職した後に、持続可能な地域づくりを目的として事業を展開する一般社団法人未来社会推進機構で新たな仕事をスタートしたところです。日頃は、法人の施設の1階のカフェ(Café&Spaceめぐる)でマスターをする傍ら、地域振興の仕事もしています。
地域づくりには、未利用の不動産の活用がとても大切で、古民家という一度役割を終えた資源を再度価値を見直し、資源としてまた利用することで、新たなしあわせなストーリーを体感できると思います。
古民家には、家族の思い出がいっぱい詰まっています
古民家の魅力ってなんでしょうか。
使われずに失っていく古民家や古材には、家族の思い出や過ごした時間がいっぱい詰まっています。それを受け継ぐことで、ぬくもりのある心地よい暮らしが実現できます。また、日本の伝統美を感じられる古民家は、その落ち着いた雰囲気が私たちにゆったりとした穏やかな気持ちにしてくれます。それは、建物の持つゆとり空間がそう思わせるのかもしれませんね。
モーガン 麻衣子(もーがん まいこ)
副会長/コーディネーター 隣の家
理想の家さがしと住む人の個性が活きる古民家改修を一緒に楽しみながらお手伝い
大好きな古民家が仕事に
長野県内で理想の古民家を探して続けて10年。飯山市の空き家だった古民家に巡り合い、現在も少しずつ改修しながら住んでいるというモーガン麻衣子さん。
長野県松本市出身。前職は国際協力分野のお仕事で、職場のあったさいたま市と飯山市との2地域居住を経て、2018年に飯山市に完全移住。同年に、改修の経験を活かして、古民家・蔵のリノベーションコンサルタントとして隣の家を立ち上げ、一棟貸しの蔵の宿や温泉旅館の改修など数々のプロジェクトを手掛けたそうです。古民家や蔵の改修は、住む方の個性や生き方などが反映され、一つとして同じものはないのがとても楽しいそうです。
次の100年200年と住み続けることができる景観に合った美しい建物を増やす
”暗くて寒くて壊すのも改修するのもお金がかかるやっかいもの”そんな負のイメージで、捨てられて、取り壊されていく古民家たちを救いたい。林業も元気がなく、手刻みなどの大工技術も失われつつある現代では、古民家のような建物は一度失われたらもう二度と同じものは建てられません、とモーガンさんは語ります。
古民家のように、住む人が変わってもそこにあり、長く住み続けられるような、美しい北信州の景観にあった、美しい建物を増やす、という目標があるそうです。幸家とのコラボレーションによる相乗効果で、この夢を実現したいという熱い想いが伝わってきました。
吉越 達志(よしごえ たつし)
委員/不動産 (有)共立産業
古民家を継承し地域の活性化に
不動産の有効利用で地域の活性化に
経歴と幸家への思いを教えてください。
私は、飯山市出身で、建設業に16年間従事し、鉄骨建物の建築、橋梁工事、寺院・土蔵等の曳家などを経験してきました。その後、平成28年に不動産業の有限会社共立産業に入社しています。幸家では、不動産有効利用の提案などを通じて地域の活性化に寄与したいと考えています。
古民家の魅力
古民家の魅力とはなんでしょうか。
古い日本家屋いわゆる古民家には、柱や梁が囲炉裏の煙で燻された独特な色合いや木材本来の魅力がありますね。また、その気候風土に適した暮らしと文化や景観なども古民家が持つ魅力だと思います。その魅力を残すことで、地域の活性化につなげたいと思います。
池田 勝幸(いけだ かつゆき)
委員/解体・古材 (有)吉越商事
皆様の家にする”想い”を大切にして、古民家解体と古材を活用したい
先祖代々が住み慣れた家を重機で一気に解体されるのは、見るに忍びない
なぜ、古民家再生のプロジェクトに参画されたのでしょうか。
先祖から代々受け継がれてきた家。自らが生まれ育った家。そこには、家族と過ごした数々の思い出が詰まった大切な場所なのです。それを重機で一気に解体されるのは、見るに忍びない。
なんとかこの家を支えた木材だけでも後世に残こせないか。それがご先祖様への供養となり、この家へのせめてもの報いとなるのでは、と考えました。そこで、私たちができることが古材の再利用なのです。ご家族の思い出の為にも、そして家を愛する自らの想いの為にも、古材の再利用にご理解をいただければと考えております。
古民家の再生や古材の活用でCO2の削減に
もう一つ理由があるそうですが。
古民家の再生や古材の活用は、次世代に継承するということの他に、地球環境への配慮や循環型社会の推進に向けて進むことができます。古材を新しい家に利用することで、CO2の削減に繋がります。
幸家では現在、解体作業から出た古材を、古材センターで大切に保管しています。古材を活用したい方は、ご一報ください。また、家の解体を検討されている方で、古材を提供いただける方もご連絡をいただければ、家の構造を考えて、寧な解体作業により古材を取り出し、必要としている方への継承を行っていきます。
小林 昌彦(こばやし まさひこ)
委員/建築・大工 コバ建築工房
価値ある建物と人と人との繋がりを残したい
職人の技術と家族の想いが詰まった古民家を残したい
なぜ古民家を再生しようと思われたのでしょうか。
現在の建築は茅葺き屋根の古民家が次々と解体され、現代風の住宅に姿を変えています。古民家と呼ばれる建築物は日本の伝統建築であり、全てを職人の手仕事と村人たちによる協働で造り上げた大変すばらしいものです。そこには職人の技術とそこで暮らし続けてきた家族の想いが凝縮されています。そんな建物を簡単に壊していいのかと疑問を感じ、可能であればその建物を修復、改修して残していきたいと思っています。
幸家に参加したきっかけを教えてください。
古民家には興味がありましたし、機会があればリノベーションなど手掛けてみたいと思っていました。しかし古民家再生には理解者と協力者が大勢必要です。それが可能なのが幸家です。メンバーと想いを共有し、利用される方の夢をかたちにする為のお手伝いをさせていただきます。私の願いは多くの古民家が蘇り、そこに暮らす人々と移住者のコミュニティが生まれ、住む人が変わっていっても古民家と里山がある田舎らしい景観を後世にも残していければと思っています。
水野 貞幸(みずの さだゆき)
委員/左官 小林左官店
古民家と漆喰(しっくい)の塗り壁は相性がバツグンです
古民家の壁にとって、漆喰(しっくい)は沢山のメリットがある!
漆喰のメリットを教えていただけますか。
はい、古民家の壁と漆喰は相性がバツグンで、漆喰は、ピッタリな伝統的な仕上げ材なんです。メリットとすると、主に4つあります。
1つ目は強度が増すことです。漆喰の原料は消石灰です。消石灰は空気中の二酸化炭素を吸収して硬化していく性質があります。2つ目は、消臭効果です。古民家は築年数も100年以上が経ち、生活臭だけでなくカビ臭さがあるのが普通です。ですが、漆喰を塗ることで、漆喰の持つ消臭効果によって、これらの臭いを消臭してくれます。3つ目には防カビ効果があります。漆喰は強アルカリ性なので、抗菌性があり、空気中のウイルスを不活性化してくれます。体にもいいですね。4つ目はなんと言っても、見た目ですね。もともと古民家の特徴の太い柱や和風の内装とは、漆喰の壁は相性がとてもいいですよ。
左官業を後世に継承したい
今回、幸家に参加した大きな理由があるそうですが。
私は若い時から左官業を営んでいますが、この左官業界も、昨今のデザイン豊富な貼り物の流行によって、減退が余儀なくされています。漆喰壁が健康に良いとは解っていても、実際に住宅を建築する際は施主様との価格の折り合いがつかないで、あきらめることが多いです。このままですと、左官職人が10年後には現在の半分になってしまうという予測もあります。私はとても心配です。
しかし、この地域には、古民家という伝統的な建物はまだまだ残っています。この古民家を継承していくためには修繕が必要になりますので、その際は左官という技術は欠かせません。
そこで、幸家の古民家再生の事業を通じて、この左官業を持続的な仕事として後世に継承していければと思いました。
蛭間 太佑(ひるま だいすけ)
委員/塗装(屋根、外壁、内装、古材) ひるま塗装
古民家、古材を利用し続ける、受け継ぐ大切さ古いものを大事にしたい。
日々のお手入れとメンテナンスをしていると見えてくる物の価値
古民家や古材の価値とはなんでしょうか。
古い物、新しい物、これから作る物を少しでも長く美観を保ち利用したいと思い仕事をしています。その中でも古民家や古材から学ぶことは多く長く使用することにより木材本来の美しさや温もりが感じられる、これは人の手にしか作り出せない事です。それと、すでに時を刻み人々の大切にする想いが詰まっている古民家、古材はとても興味深いですね。
幸家(SACHI-YA)への思い
幸家への強い思いがあるそうですが。
これから幸家が古民家、古材を大切に、新たな価値を創造し再利用していくことが楽しみで仕方ありません。空き家に明かりが灯り住む人が幸せになる『幸家』に、私たちの活動によって1軒でも多くの古民家が新しい資源となるように皆さんと力を合わせて行きたいですね。
野崎 立彦(のざき たつひこ)
委員/図画工作人(左官、タイル) 左官屋立凡
人柄とsmileを大切に、色気漂う大人を目指して修行中!!
なぜ、長野県飯山へ
移住をされたそうですが。
はい、カナダへのワーキングホリデー、スノーボード、サーフィンを通じて、自然の中での生活に魅せられて、長野県飯山市へ移住しました。そこで、土から壁を作る左官にはまり、古民家を買って、現在リフォーム中です。
なぜ、幸家へ
なぜ、幸家に参加されたのですか。
自分の感性、アイディアを活かしていけそうな場と思い、参加させていただきました。とても楽しい毎日ですよ。
組織概要
会長・事務局長 | 出澤 俊明(一般社団法人 未来社会推進機構 副理事長) | 総括・幹事 |
副会長 | モーガン 麻衣子(隣の家 代表) | 副総括・全体調整、コーディネイト |
委員 | 吉越 達志((有)共立産業 営業部長) | 不動産 |
委員 | 池田 勝幸(吉越商事 常務) | 解体・古材 |
委員 | 小林 昌彦(コバ建築工房 代表) | 建築・施工 |
委員 | 水野 貞幸(小林左官店 代表) | 左官 |
委員 | 蛭間 太佑(ひるま塗装 代表) | 塗装(屋根、外壁、内装、古材) |
委員 | 野崎 立彦(左官屋立凡 代表) | 図工工作人(左官、タイル) |
相談役 | 吉越 明人(一般社団法人 未来社会推進機構 代表理事 / (有)吉越商事 社長) |